読書会の様子 2015年

12月19日(土)

『普賢』石川淳

参加者10名

 

・素晴らしい文章で、話しかけるような流れに乗って読みました。登場人物のキャラクターが、生き生きと面白く表現されていて、難しかったけど楽しめました。

・センテンスが長く、落語を聞いているようだ。新しい文学を作ろうとする苦悩が見える作品。

・登場人物がみんな生き生きしていて、読みながら嬉しかった。石川淳を読み進めようと思う。

・感動しました。自己と対峙する厳しさに心ひかれました。

・1~2年かけ、2~3度読み、少しでも理解を深めたいと思います。

・たまげた小説です。メモ帳用意して読んでください。

・読書会のテキストでなければ、こんな面白い作品に出会えることは少ないのかもしれない。

・全然分からず、さっと読んだ。内容はつまらないと思ったが、どんどん読み進められるのはなぜなのか?

・和漢洋に渡る学識教養を身につけた著者による「普賢」。私のような凡人には理解できないよ。

・今回は聞き役。大変参考になりました。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー11月21日(土)

『火花』又吉直樹

参加者10名

 

・今まで知らなかった漫才界を描いた青春小説。

・語り手が好き。「僕」を見事に描き出した点が良い。

・芥川賞にふさわしい程度の出来すぎていない小説だと思いました。この作家の本質はまだつかめませんが。

・芸人としての又吉さんがどんな小説を書いたのか興味がありました。理解できない表現、シーンもありましたが、文章は素晴らしかった。

・話題の本「火花」を楽しく読めました。大丈文庫、大丈文庫。

・この作品の本当の主人公は、若手芸人の登竜門である舞台かも。マイクを目指して走っていく若者たちが等身大に描かれ、彼らの夢や理想、挫折や成長が切ない。

・読みやすかった。次の作品はどんなだろうと興味を持ちます。

・読んでいるときは、これからが深くなってゆくだろうと思っていたが、平凡に終わってしまった。

・又、新たな知識が増えました。同席の皆様に感謝します。

・文春次号掲載の「芥川龍之介への手紙」をもっと皆様に読んでもらいたい。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー10月17日(土)

『おくのほそ道』(仙台(宮城野)~多賀城)松尾芭蕉

参加者11名

 

・「壺の碑」とは何かとの話し合いで盛り上がり、ゆったりと鑑賞しました。楽しかった。

・「壺碑」の何に芭蕉が感動したかが焦点となったが、なかなか皆さんの意見が面白かった。

・奥の深い心を打たれる皆様のお話に、只々感激しました。

・「奥の細道」でなく「奥の深い作品」です。

・つぼのいしぶみでの芭蕉の感動が激しいので驚きました。

・各人の感性が出るよう話を進めることができれば素晴らしいと思う。

・時代の差になかなか理解できないところが多すぎ、むつかしい。

・芭蕉の生涯最大のイベントとなった旅行の記録として、確かにスゴーイものだと思います。

・宮城野・壺の碑を詳しく読めて、楽しかった。

・おくの細道、読めば読むほど奥が深い。驚きます。

・すごくよく分かった。古典文学が苦手だったが、好きになりそう。古文の授業もこうだったらよかったのになあ。

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9月19日(土)

『野菊の墓』伊藤左千夫

参加者9名

 

・涙、涙でこの小説を読みました。政夫と民子の心情が途切れることなしに書かれていて、このような小説が他にあるだろうかと思った。

・明治のこの時代には、こんな別れが珍しくなかったと思います。まだ子供のような二人に、忘れられない一途な思いが良く描写されていました。

・明治の作家にしては分かりやすい文章で楽しく読みました。伊藤左千夫という素晴らしい作家を知ったことは幸いでした。

・涙がジワーッと来るところもありました。その時代に似つかわしい悲恋を読み味わいました。

・何十年ぶりに読みましたが、淡く清らかな物語に触れ楽しかったです。

・古い作品でも心が洗われる時間を持ちました。

・綿を取りに行った山の中で、川に水を汲みに行くシーンが好きです。

・「男目線で感動するのかなー」という思いです。いわゆる「女々しい」男たちが登場するのも気になりました。

・最初は気持ちよく読んだが、なぜか後ろの方はすっきりしない感じがした。

・左千夫先生の短歌は日本文学の最高作品だと思うが、この小説の出来栄えと差があり過ぎる。わざとこの程度にとどめておいたのか?

 

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8月15日(土)

『イワン・イリッチの死』トルストイ

参加者8名

 

・誰にも訪れる「死」について考えさせられた。

・憎しみ苦しみながらも、ついに亡くなる直前「もう死はなくなった」と喜びを感じながら死んで行くので少しホッとした。

・トルストイの人物・状況描写、表現はさすがである。

・死を迎えた人の心理描写には少しついていけにところがあるけれど、それは私の理解力不足のためだろう。

・食堂番をしている百姓のゲラーシムにトルストイのヒューマニズムを感じた。

・死へ向かう人間の哀れさが書かれている。

・日本では考えられない家族関係を感じた。

・自分の属する階級で善とされる事物にこだわって頑張るイワン・イリッチが面白い。

・死ぬ3日前、自分や階級の価値観を疑う場面があって読みごたえがある。

・イワン・イリッチに対するゲラーシムの接し方は、介護職員のお手本だ。

 

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7月18日(土)

『金閣寺』三島由紀夫

参加者11名

 

・三島がどんなつもりでこの作品を書いたのか、今もってよく分からない。共感するところはなかった。

・正確さを大切にしている作家だと思いました。才能もあると思う。好きか嫌いかと問われれば嫌いですが、よく書けていてすごいという感想をもちました。

・著者が才能や技量をありったけ用いた作品と思うが、狂人の告白なので理解は難しい。若い男性の生理はよく分からない。

・三島由紀夫は天才だと思った。10章がハラハラドキドキして面白いと思った。

・描写・比喩が素晴らしい。まるで絵を見ているように迫ってくる表現だと思うが、少ししつこい。

・難しく理解しきれなくすっきりしない。読んで大変疲れた。

・古典を十分理解し、現実の世の中に取り組んだ作品。言葉も美しい。京都の町や金閣寺の描き方もよい。

・溝渕は三島由紀夫だと思う。

・男の子の成長物語だと思う。

・文章の美にほれぼれした。

・正面から理解することは難しいため、人物のかかわりなど違う角度から追及することで少しは理解できたと思います。

 

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6月20日(土)

『日本の思想』丸山真男

参加者:3名

 

・前回分からなかったところが良く理解できた。

・勘違いしていた部分があって、それに気がつけて良かった。

・伊藤博文がこんなに洞察力に優れている政治家だったとは知らなかった。読んで良かった。

 

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5月16日(土)

『伊豆の踊子』川端康成

参加者10名

 

・楽しく読める物語でした。

・汚れていない人々が描かれていて清々しい。

・心があたたかくなる物語。

・天城の風景があまり書きこまれていなくて寂しい。

・天城の様子がさらっと書かれているがよく雰囲気が伝わってくる。

・上層階級の若者がまだその責任を負えず苦しんでいるとき、ひと時の安堵をありがたく思いながらも結局は踏みにじる物語?

・「私」は女性に対して独特の接し方をする男。よく観察してはいるが決して触れあおうとしない。

・高校生のころ読んで「伊豆に行きたいなあ。こんな踊り子がいるならなおさら行きたい。」と思っていた。

・世間の最下層の人もきれいに書いていて、この時代の人(作家)として大したものだと思う。

・踊り子が魅力的。踊り子によって「私」の孤児根性が癒やされていくお話。

・古いものに触れる良い機会だった。

 

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4月18日(土)

『点と線』松本清張

参加者10名

 

・推理小説を初めて読んだ。面白かった。

・松本清張は好きな作家です。

・4分のアイデアは素晴らしい。でもそれが殺人に発展するのが良く理解できない。

・普段ミステリは読まないが、人間的な要素があると感じた。

・推理小説は初めて読んだ。犯人がすぐ分かった。

・推理小説はほとんど初めて。小さな出来事から推理のきっかけをつかむところがわざとらしく不自然。

・そもそも心中が理解できない。

・犯人が分かってもアリバイ崩しのところが面白い。

・清張はいつも「都合の悪い人には死んでもらう」という動機だな。

・トリック盛り込みすぎ。

・清張は93%くらい好きだな、と思った。

・この小説は推理小説・探偵小説・犯罪小説・社会小説・・・何なのか?

 

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3月21日(土)

『日本の思想』丸山真男

参加者9名

 

・難しかった。

・最後まで読めなかった。

・言葉を調べるのにずいぶん時間がかかってしまった。

・著者の言いたいことは何なのだろう。最後まで分からなかった。

・日本が戦争に負けたのは、西欧との思想の差ではないのだろうか、と思わされた。

・西欧の思想と日本の思想のあり方の違いが分かって面白かった。

・著者の西欧に学ぶべきという意見には反対である。日本は日本のやり方のままでよい。

・良く分からない個所がたくさんあるので、もう一度読み直したい。

 

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2月21日(土)

『風立ちぬ』堀辰雄

参加者12名

 

・文章は読みやすいが、死を扱っているので内容は重かった。

・現実の世界の話ではないようだ。

・堀辰雄は何を目的としてこの物語を書いたのだろうか。

・肺結核は現代では不治の病ではないので、背景を理解しにくい。

・人の死を自分の中でどのように位置づけるか、という物語だと思った。

・「私」と「節子」の間にある緊張感に父が絡み、張りつめた空気を感じた。

・山の向こう側とこちら側からの山の見え方の違いが、効果的に表現されていると思えた。