読書会の様子 2021年

12月18日(土)

『父の詫び状』向田邦子

参加者13名

 

・思い出や経験をじょうずにエッセイにして読み易く楽しい話にしている。自分にも思い出エッセイが書けそうかなぁ。特に鹿児島時代のことを自分の少女期と合わせて読ませていただいた。

・向田邦子はすぐれた観察力と感受性をもった子供だったからこそ、脚本家となり素敵なエッセイを残すことができたんだと思う。

・いろいろなエピソードが面白く読めた。「ねずみ花火」のお父さん、弟が印象的だ。

・短めの文章にもあっけらかんとした内容にも著者の潔さを感じました。面白かった。

・視点はとても乾いたものがあると思うけれど、人への深い愛情や思いやりを感じ、実にユーモアがあって楽しかった。

・短文なのに一つ一つが珠玉。でも内容には「書かれてないなぞ」がある。

・向田邦子の「理想の昭和」「理想の家族」かな?

・著者のお父さんが怒る場面で、自分の父がどんなふうに怒ってたかを思い出しました。

・他愛ない日常の昔話が、とてつもなく懐かしさを感じさせてくれる傑作。

・読み易い。

・亡母と同時代の作家の言葉遣いに、昭和20~30年代の幼少の自分にタイムスリップしていました。

・邦子さんのおばあさんの生涯をドラマにしてほしかった。

・向田邦子ワールドを楽しんだ読書会でした。

 

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 11月20日(土)

『華氏451度』レイ・ブラッドベリ

参加者12名

 

・本のない世界は考えられない自分ですが、このような未来は絶対来ないで欲しい。しかし現実にはスマホなどの利用者が増加して、本は確実に少なくなっていると思う。

・現代社会はファイアマンがいなくても本離れが進んでいることから、読書の効能が薄らぐことがとても心配。

・現代社会と似ているところが多く、とてもこわく感じました。

・「華氏451度」に描かれた社会の一員であったら怖い思いで暮らすことになる。どこかで勇気が振るえるのか…自信がない。

・1953年の作品なのに、21世紀を生きる私たちに警鐘を鳴らしていると思います。改めて「読書すること」の意味を考えてみる機会となりました。

・人に指図される人間になりたくない(モンターグ)。私も。

・終盤のモンターグが逃亡するシーンを、ドキドキハラハラして読みました。

・本がなくなる世界の恐さよりよりも、「モンターグの逃亡は阻止されました」と流すテレビ映像の嘘に、情報を統制される社会の恐さを感じた。

・SFは将来の現実である。

・華氏451度は書物のない世界の恐怖を描ききれていない。

・他の人たちの関心にはあまり興味がなかった。

 

 

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10月16日(土)

『少将滋幹の母』谷崎潤一郎

参加者12名

 

・情景描写がとても美しかった。

・滋幹が母と再会する場面が美しい。谷崎の筆力に感じ入りました。

・谷崎が古典と歴史から創作を加え、すばらしい作品に仕上げていて感動しました。

・改めて谷崎の力量にアッパレ!

・久々に谷崎文学を読みましたが、やはり文章が美しいと思いました。色々と読んでみたいと思います。 

・今昔物語、日記、作者谷崎の見解が入り乱れていて、すべてが創作だと思って読めばいいかも。

・文章は美しく、それぞれのエピソードは面白かった。しかし物語全体としてはまとまりがなく読後感はイマイチだった。

・平中、時平、国経、滋幹、4人の男性の物語で母恋ものは小さなテーマと思われる。

・滋幹と母はさしみのツマか?

・酔っぱらって大切なことを決めてはいけない。

・不浄観とは、欲は一時の迷いであることを悟る修行。

・皆さんの意見を伺っていて、自分が読んだ時に感じた印象以外の多くの読み方があることが分かって楽しかったです。

・各自の意見を面白く聞かせていただきました。私は谷崎がそれほど好きではないかも…。平安時代の女性を理解するのは不可能、と思ったり。でも参加できて楽しかったです。 

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8月と9月の読書会は、緊急事態宣言を受け中止しました。

 

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717日(土)

『博士の愛した数式』小川洋子

参加者12名

 

 ・心温まるよいお話でした。数学の世界が美しく、物語に織り込んであることがおもしろかった。

・博士の愛した数式、小川ワールドのおもしろさを味わいました。

・数学と阪神タイガースを主軸に、博士と私、その息子を結びつけ面白さを倍加させていく力量が素晴らしい。

・難しい数学の公式と共に未亡人と博士の関係がひっそりそして大胆に語られ、上手いなと思いました。文章は読み易く面白い作品でした。

eπi+1=0のなぞが心に残った。

・数学が小説の中に出てくる小説はあまり知らなくて楽しく読めました。

・博士について理解してやることが大切。

・人にとって他者との記憶って何だろう、と考えさせられた。

・記憶と記録に関しての考察のきっかけになった小説で、大変面白かった。

記憶と記録をもっと真剣に考える必要がある。

・記憶、記録、歴史、時間。…人間とは何か?

 ・筆力のある作家の文章は砂に水がしみこむように吸収される。

  

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6月19日(土)

『推し、燃ゆ』宇佐見りん

参加者12名

 

・現在の若い人がどんな生活を送っているかが少し学べました。

・現実は厳しい、夢は幻。どう渡っていくか?

・個人的には発達障害に関する描写が興味深かったです。『コンビニ人間』もそうですが、最近発達障害に関する作品が多い気がします。

・純文学は素敵だ!

・人はどんな方法(手段)を使っても生きようとする。

・私とは年齢の離れている作者の作品でしたが、読書会を通じて少し理解できるようになりました。

・若者言葉に触れて楽しかった。「わたし」を家族が突き放すところは疑問だった。

・主人公の人生が推しで開花し、やがて散りそうで、最後は儚い気持ちになった。

・若い作家さんで文章力が素晴らしいので今後が楽しみです。最後が切ないけれど少し希望が持てました。

・芥川賞について考える機会になりました。話題は現在の若者のネット社会(Vチューバ―)にまで広がり新鮮でした。

・若い作家さんなのに文章が読みやすくこなれていて素晴らしいと思った。内容は現代の風俗を扱っているが、主題は「生きづらさを抱える若者がもがきながら前に進もうとする」という割とありふれたものだった。

 

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5月15日(土)

『夏の花』原民喜

参加者11名

 

・平和のありがたさを改めて感じました。中東がまた熱くなってきているので、余計に平和がありがたいです。

・この「夏の花」はこれからも少しずつ繰り返し読んでゆきたいと思う。いい本に出会えたと思う。

・原爆、被災直後の状況を、小説家が淡々と書き残した文章として読みました。

・偶然によって生まれ、偶然に死ぬのだろうか?

・人の存在は、人の過ちで一瞬にしてなくなることがよく解りました。

・原民喜の人生がわかってよかった。自殺する人の気持ちはわからないが、命が惜しまれる。

・戦況が悪化する中で怖れていたものがとうとう来てしまった。その有様が淡々とつづられ、記録文にしてはあまりにも美しい文章でした。せつない!

・広島の原爆の小説「夏の花」、後世まで残していきたい。

・どんなに淡々と書かれていても、被爆という非道な事実は変わらない。

・簡潔で分かりやすくきれいな文章で、一般人が無差別攻撃される恐ろしさが描かれていた。

 

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4月17日(土)

『人形の家』イプセン

参加者13名

 

・面白かった。一度も読んだことがなかったけれど読む機会が与えられてよかった。

・面白かった。家族の命がかかっているときに社会の法と自分の法が対立したら、どちらを取るべきか考えさせられた。

・舞台で観てみたいな?色々な人の人生が交錯して面白いなと思いました。

・100年以上前だからこそ生まれた傑作かな!

・イプセンには女性解放運動を提起する気がなかったというエピソードが興味深かったです。

・フェミニズム運動の勃興をテーマとした作品と一般的に思われているが、女性の独立より人間一人一人の独立がテーマだと思われた。

・今回の話し合いにおいて、ノラとヘルメン、リンネ夫人とクログスタという2組の男女の話ととらえる読み方があるというのを知り、目を開かされました。

・古い時代の戯曲の中に、現代の私たち夫婦に通じる部分を見つけてドキリとした。

・人を責めるとろくなことにはならない。

・ノーラは「自分のために生きる」友人のクリスティは「誰かのために生きる」150年前に書かれた人間の姿、対照的な二人の生き方は現代にも通じるテーマであり、今までのイメージの『人形の家』とは違った印象を持った。

・クログストとリンデ夫人がやり直すところが一番印象に残りました。

・苦労してきたリンデン夫人に対するノラの悪意のない天真らんまんぶりが苦手だった。夫を捨て、3人の子供、裕福な家庭を捨て自立していくノラはスッキリしたけれど理解はできない。

 

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3月20日(土)

『夜間飛行』サン=テグジュペリ

参加者12名

 

・夜間飛行という新規事業に挑む人々のさまざまな姿に、働く者の一人として共感しました。

・リヴィエールはいかに責任を取るのか?

・子どものころに甘ちゃんだった作家が、すごいこと考えたり経験してる!!

・難しくはあったけれど面白かった。同じ作家の他の小説も読んでみたいと思った。読書の幅が広がっていくようで楽しい。

・パイロット・ファビアンの颱風の中の奮闘、それを地上で見守るリヴィエール支配人の深い愛と、仕事人としての決断に感動しました。

・『星の王子さま』に続いてサン=テグジュペリの作品でしたが、また違った力強いメッセージ性と迫力に驚かされました。文章も素晴らしかったです。

・リヴィエールは厳しい態度の裏に部下、会社を思う愛情を感じる。リヴィエールと操縦士たちは武士のようだと思った。

・この小説は、人におもねることなしに作者の思うところを書いているということで、むつかしいけれど面白かった。

・パイオニアといわれる人を改めて尊敬できる面白い物語だった。

・厳しさとやさしさ、どちらを取るか?熱があっても冷静でいるリヴィエールに惹かれています。

・操縦士とその家族、整備士、統括責任者のそれぞれの思いが端的に描かれていて感心した。

 

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2月20日(土)

『星の王子さま』サン=テグジュペリ

参加者11名

 

・大人になって改めて読んで感動しました。キツネとの場面では切なくなり、王子さまとの別れは本当につらいものでした。

・大人も楽しんで読める童話だと思いました。

・読後は心が合わられたような少し寂しいような、なんとも言えない気持ちになる。まわりの人たちを大切にしようという気持ちが、より一層深まる。

・世界的な大ベストセラーを初めて読みました。これを読むには、正直な気持ちが必要なんだな。

・夜、星を眺めて王子様と笑いたい。おくりものだから。

・今は遠く離れていても、思い出すたびに親愛の情が湧き上がる相手がいる人は幸せだと思った。

・題名はよく聞いていましたが未読。一度、劇で見たことがあります。今回読んでみて、子供に読み聞かせても理解に苦しむ童話ではないかと思った。

・最初から最後まで初めて読みました。皆さんの感想が面白かった。

・本の読み方もそれぞれあり、どれが良いとか決めつけられないのでは?

・童話ではなく哲学でした。もう一度読み返します。

 

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1月16日(土)

『おくのほそ道 最上川~』松尾芭蕉

参加者8名

 

・「奥の細道」は何回読んでも飽きない。どうしてこんな文章と句が書けるのかと思う。

・五七五の3面が違った語感を伝えて、一つの大きな世界を生んでいる。

・月山に夜明かしする芭蕉と曾良はすごい。当時の旅の厳しさを思う。

・古典はやはり一人で読むよりグループで読むのが面白いと思いました。

・最上川・出羽三山の旅をしたくなります。

・芭蕉よりも曾良の方が上手な作者だったのではなかったか?と感じた。

・古文は遠くになりにけり。

・「五月雨をあつめて早し最上川」ふーん、どこが良いのか分からない!

・私もどこが良いのか分かりませんでした。残念。

  

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