読書会の様子 2018年

 

12月15日(土)読書会の後、昭和通りの「ふたばさん」で忘年会、

今年一年の読書を振り返りました。

 

有志は2次会(ガスト)へGO!

楽しい夜を過ごしました。

 

また来年も新しい本との出会いを楽しみにしましょう。

 

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12月15日(土)

『獣の奏者Ⅰ闘蛇編』上橋菜穂子

参加者14名

 

・ファンタジーは苦手意識がありましたが、楽しく読めました。文化人類学的な要素も多く組み込まれていて、とてもしたたかな小説だと思います。

・想像上の獣が生き生きと表現され、風をも動かす大切なものとして扱われながら、物語の主人公に少しずつ動かされるさまが大変面白かった。

・ファンタジーの世界とはいえ、現代の人間社会に通じる分かりやすいストーリーがとても面白かった。

・文章が上手、特に自然の描写がうまい。映像が目に見えるようだ(ただしアニメだが)。

・少女の成長を描こうとする小説として読みました。第1巻なので主要配役を登場させる段階で終わっているので続きを読まないと…。

・続きを読みたい。エリンはどうなるか楽しみです。

・現代の子供が読んでいる本を読めて良かったです。

・アニメにすれば面白かろうが、あまりに現実味の濃い作品だ。もっと幻想の世界に入っていてもよいと思う。

・蜂育ての場面が良く描かれているが長すぎる。

・一通り読んだが、理解できなかった。

・空想の世界を広げる漢音の造語表現が効果的。人物や生き物の姿をうまく想像できなかったので、頭の柔らかい若い頃に読んでいたらもっと物語にのめりこむことができたと思う。

 ・人物がステレオタイプで感情移入できなかった。ユーヤンの関西弁が鼻についた。

・今日は選者となり緊張しましたが、皆さんのいろいろな視点で話を聞かせて頂きとても楽しかったです。またいつか(すぐにでなく)選者になりたいです。

 

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11月17日(土)

『斜陽』太宰治

参加者14名

  

・かず子が世間知らずで向こう見ずだけど、とてもかわいい人だと思いました。

・ほかの太宰作品と同様に、人物の例えなど文章が素晴らしいと思いました。

・没落に厳しさに悲しむのと同時に、立ち上がる強さも読み取れました。

 ・太宰の作品を初めて読みました。楽しかった。ほかの作品をこれから読みたい。

・作中で言及されている源氏物語やチェーホフのモチーフについて話された方がいて、勉強になりました。

・若いころ読んだ時感じた感動は感じませんでしたが、楽しく読めました。

・平凡な日常生活の中で過ごしている者には、太宰の世界――甘さと苦みとの際どい境界領域――に踏み込むには、我慢強さが試されました。

・いろいろなものが混ざっている話で、読んでいて混乱してしまう。

・「私の胸に革命の虹をかけて下さったのはあなたです。恋しいひとの子を生み育てることが私の道徳革命の完成」・・・その子はどうなるか心配です。

 ・太宰はやっぱり重い!

・登場人物の言葉がすべて太宰の言葉に聞こえてしまう小説って、どうなんだろうか。

・文学としてよく書けていると思う。しかし太宰の作品は、何度も読み返していると嫌な部分が出てきてそれが増えていく。何故でしょうか?

 ・作品の題材としては、発表当時は珍しかったろう。崩れ行く貴族の姿がだらしなく、救いようがない状態で終わる。2回読破して、あまり良い作品とは思わなくなった。

・久しぶりの太宰作品でした。この会にも太宰ファンは多いですね、びっくりしました。

 

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10月20日(土)

『砂の女』安部公房

参加者14名 見学者1名

 

・独自の表現で、男女の関係を小説にした、すぐれた作品だと思いました。

・読み応えのある作品であった。

・同じ話を繰り返したりとか間延びする説明とかもなく、明確な文体でストーリーは展開していく。

・面白かった。

・安部ワールドに引き込まれる。

・すばらしい作品だと思います。世界に人気があるのもよくわかります。

 ・論理的で理知に富んだ文章で、読みやすく、面白く読めました。

 ・比喩表現が素晴らしく、人生について考えてしまった。

・自由への切符を手に入れてから、ラストの失踪宣言の審判を受けるまで、彼はどのように生きたのか気になる。

・砂が主役となれば、蟻地獄、最後は男がカゲロウの如く飛び立つのでは、と思ったが、結末はそうでなかった。面白い仕上がりになった。

・難しいテーマでした。

・面白くなく、ただ難しいばかりと思って読んだ。皆さんはそうでもないようで意外だった。

・文章がいいと思いました。唐突な比喩は嫌でした。

・とても文章がうまいし、多数の比喩表現に驚きました。理解できない個所もあり、読むのに苦労しました。

・文章が上手。面白く読んだ。テーマはさすがにもう古くなってしまった。

・いろんな意見が聞けて、興味深く、楽しい読書会でした。

 

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9月15日(土)

『張込み』松本清張

参加者12名

 

・清張らしい小説。

・読み応えのある清張小説でした。

・推理小説として分類するのではなく、純文学的流れが残る作品として扱うことが望ましい。

・昭和の女性の価値観・世間体というものを思い出した。

・小説には書かれていない昭和の記憶をいろいろ考えました。

・タイトルからは想像もしなかった秋の美しい情景描写や、さだ子に対する刑事の思いが伝わりました。

・短編ながらとても面白く読みました。

・人物の描写がほとんどないので、それぞれがどんな人生を歩んできたのか、今何を考え感じているのか、想像のし放題である。

・一人の女性の「生命を燃やした」数時間と、あっけない幕引きがとても切なかった。

・松本清張氏の、女性や弱者へのやさしさは、どうして生まれたのか考える。

・母や家族、自分も苦労していたか、時代がつらい中、精一杯生きていた人たちへの人間讃歌のように思う。

・登場人物にそれほど魅力的な個性がない、やや残念。

・刑事は「今ならまだ間に合う」と言ったが、さだ子が家を出る決心をした時点でもう間に合うことは永遠にないのでは?と思った。いくら女には厳しい時代と言い訳しても。

 

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8月18日(土)

 『まほろ駅前多田便利軒』三浦しをん

参加者13名

 

・バラエティに富んでいたので面白く読めました。

・漫画小説のおもしろさを楽しみました。

・エンタメ小説として楽しみましたが、多くの方が虐待や身辺整理といった社会問題・生活問題と絡めて話されており、多くの発見がありました。

・映画を見ているような小説でした。世の中に起こっている様々なことを学べました。

・楽しく読みました。

・漫画を見るような、一場面一場面である小説。

・便利屋は種がつきないテーマである。

・前現代的テーマのような場面もある

・自分の周りにはいない人物が多く登場するが、共感できる人物・シーンが少なかった。

・面白い話が聞けました。

・たわいもないことが、魔法にかかったことのように生き生きと心に訴えかけてくる素晴らしい小説でした。

・小説の内容をいろいろ話しているうちに、この小説が好きになりました。読書会の効果です。物を片づける話も面白かったです。

・まほろ駅前多田便利軒に幸福を再生することを頼めるかは、続編もあるので読んでみたい。

・すばらしい作品であるとは云えないかもしれないが、欠点をあげつらうのはむずかしいし、その必要もないであろう。たのしく読めればそれで充分なのだ。主人公二人(?)の生き方をまじめに論じるとなれば、それはそれでおもしろいものであろう。

・行く末、アウトローにならなければよいが・・・小学四年生由良くん。凪子先生は勝手過ぎやしないか?

・奇矯な人物・出来事がいっぱい。楽しく読めました。

 

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7月21日(土)

『数学する身体』森田真生

参加者14名

 

・数学的な見方で社会の事象をつかむことの大切さを再認識しました。

・難しい数学の世界を、チューリングや岡潔の人生を紹介しながらまとめられているので、面白いところもありました。でも(読むのに)苦労しました。

・『数学する身体』というタイトルに、筆者の言葉の表現力のよさを感じる。『人間の生活と数学』では面白くない。

・数学史の概要について学べた本でした。この読書会で多くの方が数学について今までも関心を持ち、中には学んでいるということに驚きました。

・数学をビジネスにしている著者は大したものだと思いました。

・「数学は情緒だ」の答えを探すために読みました。皆さんの話を聞いて、生活力、人生の感覚を磨くためなのでは、と思いました。

・数学史、数学的思考についてとても興味がわきました。

・アラン・チューリングと岡潔の人生について知ったのは収穫。テーマはよくわからなかった。

・幼少のころ風呂に入ると数字の暗唱を父に強いられ、物を見ると数を数える、という習慣がついた。身体はいつも数合わせをしている、ということが書かれているのかと思ったら、数学と芭蕉などが一緒になる内容だった。

・専門的知識があれば何を言わんとしているか理解できると思われるが、残念ながら最後まで神髄をつかむことができなかった。

・日進月歩。コンピューター化。これらと課題本との接点はあまりなかったようだった。

 ・著者の数学に対する理解度に疑問を感じた。

・筆者独特の言い回しに辟易した。過去の数学者の業績を、自分のことのように語る神経がわからない。

 

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6月16日(土)

『野火』大岡昌平

参加者16名

  

・人は窮地に追い込まれると、人間のあらゆる本能が勝手に出てくると考えさせられた。

・戦争はいやだ。もっと大きな声で言いたい。そんな作品。

・戦争を扱う文学は好きではない。

・戦争の現場がどういうものか少し学べました。

・物語としてはとても読みやすく興味深かったけれど、奥が深くあまり読み込めなかった。

・とても難しい小説でした。人が日常何の自責の念も持たずに植物・動物を食することを改めて考えました。

・翻訳体で書かれているので日本語の文章の柔らかさがない。しかし心理的、論理的な文章の運びが素晴らしく良い作品だと思う。

・論理的な説明はできないけれど、記憶に焼きつく作品となった。

・再読。今回は細部にも気をつけて読めた。主人公の行動や意識についていくことができた。

・多様な意見が出たと思う。面白かった。

・私たちも戦争の悲惨さを訴えて平和学習をしているのだが、人間の本質、支配欲はいまだに改まらない。(めぐみさんたちも早く帰ってきてほしい)

・主人公にはもう一人の自分がいるからこそ最後の狂人日記ができて、それはこの本に必要だったと思う。人間の生きる本当の意味と苦しさを表していると思った。

・文章に引き込まれぐいぐい読んだ。動物と人間の境は何か?というテーマは少し古臭く感じた。

 

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5月19日(土)

『おらおらでひとりいぐも』若竹千佐子

参加者14名

 

・小説のかたちをしていて、物語は報告のような文学。素晴らしい作品。

・文体上の工夫が大変多く為されていると思いました。

・東北弁がリズミカルで面白く、描写がすばらしかった。

・死への道のりの手前で立ち止まった作者の観念が見事に描かれている。

・自分と重ね合わせながら読みました。

・芥川賞の受賞作として、大変納得できた。

・誰もが避けて通れない現実を、頭と心を介して面白おかしく、そして切なく見事に表現している。素晴らしい。

・過去の自分たちと共に生きている感じが良かったです。

・方言が分かりやすく、主人公が言っているような様子を想像しながら読めた。

・これからむかえるお一人様の生き方をもう一度考えよう、と思った。

・タイトルは宮澤賢治の「永訣の朝」から取っている思った。

・近年方言が再評価され大切にされてきている。皆で方言に興味を持ち、また誇りを持ちたい。

・女性の一人暮らしが多くなると思うので考えていきたい。

・東北弁をうまく使ってひとり行く桃子さん。どうなるのか。

・いい作品。でも欠けているものが大きすぎる。

・読みづらかった。桃子さんの内面につきあって読めるが、起伏があまりないので飽きてしまう。

・つまらなかった。方言は分かりやすく、さらっと読めるが、主人公に魅力を感じない。

 

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4月21日(土)

『朗読者』ベルンハルト・シュリンク

参加者16名

 

・ドイツ文学を始めて読んだが、なかなか楽しく読めました。いい小説でした。

・秀作であると思います。主人公の思いがはっきりしていないことが人気をあげたのでは?

・タイトルの『朗読者』だけでは想像のつかない展開に心ワクワクして読むことができました。

 ・戦争に翻弄される巻き込まれた一般市民。ハンナは文盲で哀れに思われるより罪人として裁かれる方を選択し、ミヒャエルは迷いながらも彼女の思いを尊重した。

・大変面白い本だった。

・とても重いテーマではありましたがハンナの辛い人生、涙!共感する部分も多く考えさせられました。

・多くのテーマが簡潔に興味深く書かれていると思いました。

・久しぶりで堅苦しくもよい小説に出会った。

・久しぶりに感動する一冊でした。もっともっと読みこんでみます、

・前半と後半で雰囲気がガラリと変わってどんどん重苦しくなっていった。とても興味深い作品でした。

・ハンナという女性の一生を考えると、文盲のため常に戦ってきた重い人生が深い。

・内容的には素晴らしかった。小説ではあるけれども誰にでもある体験と思う。

・人と関わることの重みを考えさせられました。男女の仲は複雑で面白い。

 ・とある時代にとある場所と環境に生まれ育った一女性の物語として読んだ。2人の間に愛はあったのだろうか?

 

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3月17日(土)

『蜜蜂と遠雷』恩田陸

参加者11名

 

・音楽を言葉にするのは大変な作業だと思います。それをつきつめて書いていると思いました。

・ピアノ曲をたくさん聞かせてもらった気分です。

・音楽好きには嬉しい。審査員を務めるのは苦しそうです。

・ピアノコンクールを舞台に、人と人とのつながり、影響を受けることの凄まじいとらえ方や表現に感動した

・音楽家、音楽業界について、またそれらと世間との関係について読みながら楽しく学べました。

大作でしたが、音楽の世界を充分に味わうことが出来て、楽しく読み終えました。

・音楽の描写が素晴らしく、実際にコンサートホールで聴いているような臨場感があって楽しかったです。

・長い。読み終わるのに苦労しました。

・よくここまで書き込んだと感心しました。感心したのはそこまでですが。

・人物の造形が薄く感じて面白くなかった。音楽を言葉にすることに挑戦…なるほどそんな読み方もあるのだなあ。。

 

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2月17日(土)

『日の名残り』カズオ・イシグロ

参加者12名

 

・イギリスの文化と共に、風景を感じさせる。

・人物像がありありと浮かんでくる。

・イギリスの社会が少し理解できた。

・読み方が足りなかったのかよく分からなかった。

・いろいろ考えたが、はっきりつかめなかった。

・執事という仕事に一生をかけたスティーブンスの一生に思いを深くしました。

・語り手の話に素直に耳を傾け、昔の英国の上流階級の暮らしぶりを知ることができました。

・敬語の翻訳は読み甲斐がありました。

・「信頼できない語り手」が自らの一生を振り返る。「私は選ばずに信じたのです」人生の後悔を語る一人の男の心情を思うと切ない。

 

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1月20日(土)

『影裏』沼田真祐

参加者11名

 

・ちょっと不親切な書き方。最終段落は味がある。

・どのように読めばいいのかよく分からない小説でした。単なるほのめかしだけではないと思うけど…

・釣りの描写が素晴らしい。友愛の物語。

・文章は素晴らしく良い。しかし前半と後半とのつながりがバランスが取れていない。ある程度の長さがないと作品として扱われないために「釣り」の描写を多くしたのではないか。

・文章力が大変優れた作家だと思いました。

・『影裏』の意味するところは分かりませんでしたが、ひとりでは読みこめなかったところに気づきがあったので楽しかった。

・少し読みにくいところもありましたが、2度読むことで理解が進みました。最後までタイトルの意味するところが分かりませんでした。

・「わたし」の人間性をはじめに描き、次にその「わたし」にとっての3.11震災を物語る。上手い。

・読書会を終えて、作品がすごく良く思えてきた。

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