12月21日(土)読書会の後、例年通り、昭和通りの「ふたばさん」で忘年会、
今年一年の読書を振り返りました。
有志で2次会(ガスト)へ行くのも恒例に。
そちらも盛り上がりました。
また来年もよろしくお願いします。
12月21日(土)
『郵便配達は二度ベルを鳴らす』ジェームズ・M・ケイン
参加者13名
・シンプルだが、読み応え抜群!
・どんでん返しがたくさんあり、推理小説として純粋に楽しめた。特にラストがよかった。
・恋愛小説として楽しく読みました。ギリシャ人の店主が人の良い人間として書かれているのが印象的でした。
・二人の愛情が本物だったのかは疑問がありましたが、コーラの死に対した時初めてフランクの愛情を感じました。
・ろくでなしの男と女、犯罪、裁判、人種差別など当時のアメリカの様子がよく分かって興味深かった。フランクがコーラを助けようとするシーンに胸を打たれた。
・良識やセンチメンタリズムからの絶縁というのが腑に落ちてよかった。
・主要人物も保険屋も検事も、皆「欲」に突き動かされている。アメリカらしい作品でした。
・ハードボイルドとは何か?で始まり、「この作品はハードボイルド風な作品」という意見が面白かった。
・映画用に書かれた小説ドラマである、という感じで読んだ。読者を意識して書かれている。
・宗教的結末が時代を感じます。
・全体的に筋が荒いような、でも部分的にはやたらに細かいところもあり…軽重のバランスがあんまりしっくりこなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
11月16日(土)
『千年樹』荻原浩
参加者14名
・読みやすい文章、わかりやすいテーマ、たくさんのエピソードをテンポよく仕上げる手腕に感心した。
・平安時代に萌芽したくすの木の下で、周辺で、人間の営みも千年続いているということを、登場人物や出来事のリレー方式で描いていて面白い。
・「あれこれ相談課」のネーミングが面白い。
・それぞれの短編が色々なところでつながっていて、パズルのようなおもしろさがあった。
・読み物として沢山のサービスがあって面白かった。
・題名に惹かれる。千年樹、荻原先生。
・千年樹のもとで、様々な時代に様々な生活が繰り広げられていました。楽しく読めました。
・大樹と記憶を絶妙なバランスで操った荻原ワールド、さすがです。
・この作家の作品をもっともっと読みたい。
・改めて「百樹」に興味がわくような、面白い作品でした。
・いじめの本質をもっと研究する必要があると思った。自分では何もわかっていない。
・いじめを考える機会になりました。
・気味悪さとユーモアとをまぜこぜにした文章を書く人。興味を持ったが、ちょっと引く。
・いろいろな話がごった返して混沌としてしまっています。
・全体的に暗いエピソードが多いと感じた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
10月19日(土)
『日本文化私観』坂口安吾
参加者13名
・坂口作品は初読みでしたが、言いにくいことをズバッと言っていて、気持ちよかったです。
・人の本質を見事に表現しつくした傑作。
・楽しく読み、いくらか理解できました。
・坂口安吾は言い切っていますが、私自身は常に情報に流され、自身の気持ちを確認することなく納得することを強く反省しました。
・坂口安吾、逆説作家なのかな?
・日本的俗悪までは理解したが、家についてで思考が止まってしまった。
・美についてはもう少し考えたい。
・安吾の人生を考えてみたいと思いました。
・もっと家で読む時間を取ればよかった。
・この作者のこの書き方は「書きたいことを勝手に書いているだけでー」という書き方である。
・話題があちこちに飛ぶので読みにくい。日本人を「あるがままでよい」と応援していることは分かった。
・今回初めて参加したが、忌憚なく話ができる会のようである。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
9月21日(土)
『土』長塚節
参加者10名
・自然描写の擬人法が少々読み辛かった。
・長編で読みにくい作品でしたが、田植えや季節の移り変わりが美しい映像として目に浮かんできました。
・物語がたんたんと進み、方言もきついので読みにくいが、読んでよかったと思える本だった。
・地に足の着いた農民の生活が良かった。
・お品が破傷風で死ぬのが気の毒に思った。
・極貧の勘次一家の生活を、自然の中でうごめくあはれな生き物のように写している。
・この時代の貧農の暮らしぶりが丁寧に書かれていてルポを読んでいるようだった。
・人の生活も風景も丹念に描かれていて楽しく読めました。
・再びこの『土』に逢えてうれしい。
・この作品の自然を描いた部分が私は好きである。
・花鳥風景の叙述は、この作品が最高である。
・個人、家族、社会、自然のありようが連綿と綴られ、日本の原風景を見るようだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
8月17日(土)
『ハツカネズミと人間』ジョン・スタインベック
参加者11名
・ジョージとレニーの夢を描くヒューマン・ドラマ。後に残る悲しみと苦しみ、広大なアメリカを感じました。
・二人で思い描いていた農場、ラストのシーンなど映像のように情景が浮かびました。むくわれず切ない話でした。
・スタインベックの世界、ジーンときました。
・1930年代のアメリカの労働者の孤独と悲しみが切なくてたまらない作品でした。
・季節労働者の4日間だけど、凝縮された物語の仕上がりに心を打たれた。
・単純な人物象形で作品が出来上がっていると思う故に読みやすかった。
・セリフと挙措で人物の一人一人の個性が描き分けられていて、うまいなあと思いました。
・場面の説明はあるが、心情の説明はないので、脚本・台本という作りだと思います。
・自由・平等・博愛の実現の難しいことを考えさせられました。
・男二人連れの良さを自分の学生時代を思い出しながら味わいました。
・映画の脚本のようで、光景が鮮やかに浮かぶ作品でした。
・個性の強い季節労働者の男どもを束ねる農場主は大変な仕事だろうなと思った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
7月21日(土)
『極上の孤独』下重暁子
参加者12名
・楽しく書けていて、楽しく読めました。
・読みやすい文章でスラスラ読めました。
・司会を楽しくやりました。ありがとう!
・人が求める行き着くところが孤独であっても良いのではと、この本を読んで改めて思いました。
・一人でいるから孤独というわけではなく、何か心揺さぶられるものを見聞きしたとき、そのことを分かち合う相手を欠いていると「孤独だな」と思います。
・孤独について考える機会になりました。でも下重さんの孤独はイメージと違っていました。
・タイトルに惹かれましたが、イメージとは全く違うエッセイ。
・「孤独」は人によって違うものだと知りました。
・「孤独」について考えるきっかけを作ってくれたことは大変よかったが、この本は感動することはなかった。
・久しぶりに本を買ったが、皆の感想はあまり良くなかったようだ。
・作者は恵まれていて、孤独ではなく、一人を楽しんでいるだけではないかと思う。
・「孤独」の定義が分かりにくかったです。
・下重さん、うらやましい生活です、極上の快適生活。
・孤独にも色々あるけど、今日のテーマは難しすぎた。読書会の永遠のテーマかもしれない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
6月15日(土)
『ソロモンの指環ー動物行動学入門ー』コンラート・ローレンツ
参加者12名
・著者が自然の中で動物と触れ合いながら生きる姿がとてもほほえましく、動物たちがいとおしく感じました。
・動物は、生きるために?生き残るために?どちらに必死なのだろう、少しだけ人間と比較しながら読みました。面白く楽しい本。
・動物の楽しい生態を知り、驚いたり、笑ったり!
・知識のないまま、熱帯魚、金魚、メダカを飼ったことがあり、興味深く読みました。庭に来る鳥を観察するのが好きですが、厳しい序列があることを初めて知りました。
・人類にとって見習うべき行動や愛情表現を持つ動物たちは素晴らしい!
・この本を読んでから、見かける鳥の鳴き声や動きに目がいくようになりました。
・ソロモンの魔法の指輪をはめて、動物と会話してみたい。
・動物を通して人間を考える。色々な事が分かってくる。自分は小さいなと気づいた。
・この本から「生きる」ことの大切さを学んだ。生命に対する著者のリスペクトを感じた。
・良い話し合いができた。
・この本に出てくる鳥、魚、その他の生き物は、彼ら自身の行動によって考えたり思ったり生きたりしているのであって、人間が考えたり思ったりするのは一部分の解釈であるのではないか。
・楽しく読むことができなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
5月18日(土)
『夢の木坂分岐点』筒井康隆
参加者10名
・「私は、どのような人生であっても精いっぱい自分らしく(やくざ=死と戦って)生きてゆく」という、作者の決意表明かな?と。日本語が素晴らしい。
・筒井康隆作品を久しぶりに読みました。惚れ惚れと読まされてしまいました。一語一句を楽しんで読む。斜め読み、飛ばし読みは損です。
・人間の深層心理を的確に表現している。最高作だと思う。
・読みながら自分自身も現実にいるのか夢の中にいるのかあいまいになってきました。
・面白くもあり、怖くもあり、それでも共感もできた不思議な小説でした。文章はとても魅力的でした。
・家族内や職場の場面に面白いところがありました。
・楽しくない小説だった。
・この作品は何を主張しているのか、やや不明瞭である。
・この小説の「虚構遊病者」に仮託した饒舌型を借りた心理心性小説と見たが、結局は「夢」の世界なんだ。よくわからなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
4月20日(土)
『おくのほそ道(尾花沢)』松尾芭蕉
参加者11名
・紅花、立石寺、最上川、いよいよ行ってみたくなり度が上昇しています。
・「五月雨を集めて早し最上川」最上川で船にのりたい。
・「閑さや岩にしみいる蝉の声」暑い夏がしみじみ懐かしく思えてくる。
・徒歩の旅への熱い思いが伝わってきます。曾良も偉いですね。「旅の苦労を知る人」のお世話を受けて、良かった良かった。
・風流の世界にしばし浸れました。俳句の読める人に憧れます。
・芭蕉の有名な「閑さや」「最上川」の句が、どういう背景の中に生まれた句であったかがわかってよかったです。
・「閑さや」のセミの種類ひとつで、皆さんの意見が広がる楽しさを味わいました。
・芭蕉の文章は簡明でありながら美しく味わい深いと思います。
・初めて俳諧にふれましたが、人それぞれ受け止め方が違っておもしろかったです。
・奥の細道の中でも長期滞在した尾花沢。立石寺に旅心誘われる。
・話題が切れることなく、内容もよく、面白かった。
・芭蕉の旅日記「おくのほそみち」読むにつけ、これは自分も実際に足を運んで、詠まれた句に実感として浸りたい思いにかられる。旅支度を始めてみたい、ひとり。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
3月16日(土)
『草枕』夏目漱石
参加者11名
・漱石の作品は初めて読みました。楽しく読みました。
・漱石の和漢用の教養の広さに驚かされました。そして楽しめました。
・面白い作品だと思った。美文調、会話調の両方がある。
・遠景の自然は美しく、近景の人物たちは面白い会話をする。楽しめました。
・漱石は39歳の時に『草枕』で非人情を書いた。60際の私はどう人情をとらえたらよいのか。
・芸術論は難しくて理解できませんでしたが、那美さんや源兵衛、庄屋さんなどとの会話のシーンはとても面白く読めました。漱石はやっぱりすごい‼
・出だしが有名だが、ラストもよかった。那美さんの「憐れ」な表情をいろいろ想像した。
・那美さん、会えるなら会ってみたい。漱石の女性観が少し見えました。
・漱石は読んでいけば分かるような作家ではないようだ。難しいことを言っているわけでなないはずだと思うが。
・漱石をもっと読みこなすことが大切、司会者の「ものを見て美しいと思う人は詩人である」との言葉を忘れずにいたい。
・漱石を読み始めて、今日の読書会でいろいろなことがわかりました。やっぱり人の意見、考えを聞くと、より理解が深まります。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
2月16日(土)
『午後の曳航』三島由紀夫
参加者12名
・大変出来の良い小説で楽しく読めました。
・少々図式的な感じはしますが、三島らしい高い構成力が発揮された作品だと思いました。
・楽しく読みました。三島由紀夫の小説は初めてでした。
・13歳の少年を通じて、自分たちは何のために生きているのだろうと思わざるを得ない不思議な気持ちにさせられた。
・面白かった。ラスト、6人の少年のタグボートに連れられて栄光に向かって出港する竜二の姿が目に浮かんだ。
・三島らしい表現が理解しにくかったけれど、少年たちの変に大人びた世界に驚きました。
・竜二が殺されてしまうのはあまりにも悲しすぎるので、登の最後の決断が気になりました。
・「自分たちの未来の姿」を死刑に処することで大人の世界に反撃する登たち。船乗り竜二はその大人の代表だとすれば、母は何なのだ、再婚して良いのか。
・午後の曳航の世界に曳航してほしかった。
・大人によって砕かれた少年の憧憬。この後の少年の生活を支えるものがあるだろうか。
・久しぶりの三島作品で盛り上がりました。参加者の皆さんは、彼の言っていること、言おうとしていることを理解しようとしていた。
・子供の世界から大人の世界を見る。大人の世界はレンジの中に映った世界。
・あまり興味がない内容だったので、他の人が面白そうに話をしているのが意外だった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
1月19日(土)
『最後の将軍』司馬遼太郎
参加者9名
・最後の将軍のタイトルだけでもインパクトがある上に、大変面白く、並の考えではついていけないくらい興味深かった。
・司馬遼太郎ならではの徳川慶喜を読みました。
・司馬史観、お見事!魅力ある慶喜。
・徳川慶喜のことがよく分かりました。すばらしい将軍だと思います。
・最後の将軍となった慶喜の人物像は賛否両論であるけれど、「男らしく」とてつもなく理知的な人物と受け取りました。
・全編楽しく読めました。
・商人が台頭し始め、外国が日本の戸をたたき始めたという、時代が時代だけに将軍が国を治めることが難しくなった時代の話だった。
・漢語に幻惑されて読み進みました。微妙な心理も漢語で表されて、わかった気になってしまいます。
・慶喜が一人の人間として立ち上がってこない。やや消化不良の人物造形と読んだ。残念。