読書会の様子 2020年

12月19日(土)

『お伽草紙』太宰治

参加者11名

 

・お伽ばなしでなく、お伽草紙でまさしく太宰治の世界へ引きずり込まれました。こんなパワーを欲しいです。

・子どもの頃に読んだ昔話と内容は同じでも登場人物のイメージがだいぶかわった。違った角度からみることができておもしろい。

・太宰の作品の中でこんなに楽しく読めたのは初めてでした。落語のようなリズムもたくみな文章も流石です。

・学生時代に読んだ時は「カチカチ山」がおもしろいと思いました。今回再読して「浦島さん」が1番印象に残りました。

 

・太宰治の作品は数篇しか読んでいないが「お伽草紙」はのびのび書かれていてよいと思います。

・昔むかしの話だったが太宰治によって変えられていて感心しました。それが防空壕の中で書かれていたのは驚きでした。

・お伽草紙は太宰治の反戦小説だ!

・子ども時代の定番物語が、書く人によって別個のものとなり、幅広い世代に受け入れられていることが素晴らしい。

・「太宰の」お伽草紙、でした。

・サービス精神が旺盛だ。直に太宰治の話をきいている気分になった。

・お伽草紙で太宰はしゃべりすぎてはいまいか。説話体と饒舌体をたくみに使って話が進行している。

・昔話を改変して別個のものにする、というのは学生のやることではないのか?と思った。

  

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11月21日(土)

『センセイの鞄』川上弘美

参加者12名

 

・面白かった。あたらずさわらずの男女の愛、傷つけることもなしの仲がどこまで続くのか、とも思った。

 ・一見、飽きられそうな物語を最後までひきつける著者の素養が素晴らしい。

・ツキコさんの気持ちが、情景描写と境がはっきりしないようなやり方で表現されていて、不思議な気持ちになって読みました。

・川上弘美の世界にひきこまれました。

・相手も自分も認め合う自由な心のあり方、生への肯定感。

・はじめは不器用なツキコさんの恋心にイライラしながら読んだが、ラストで体当たりしたツキコさんの勇気に感動した。

 ・川上弘美の中ではとても読みやすい小説だった。言葉選び、空気感がとても心地よかった。

・同性の関係と男女の関係の違い(常識)を越えた、新しい「男女の性の違いを超越したもの」を暗示させるものを感じた。

・手さぐりで今ひとつ分からない部分はたくさんあったが、他の方たちの話を聞きながら様々な発想を呼びおこすものがあり面白かった。

・大人の恋愛がテーマだと思っていたが、作家の本当に書きたかったものはそんなことじゃあ無いのでは?何かは不明だ。

・生徒時代は先生に憧れ好きになるということがあるが、大人になってから出会った交際となるとよく解らない。

・鞄には何も入ってなかったのは残念な気がしました。先生と教え子の関係には違和感がありました。

 

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10月17日(土)

『ハブテトル・ハブテトラン』中島京子

参加者13名

 

・美しい風景、歴史ある神社、おいしい食べ物、是非行ってみたい!

・小説の旅。尾道にグルメ、そして自転車に乗ってしまなみ海道を旅行してみたいです。

・さわやかな小説で備後弁が効いている。瀬戸内旅行に行ってみたくなる。

・読みやすくて楽しく読みました。

・楽しく読めた本でした。

・自分の小学生時代を思い出しながら楽しく読みました。

・この作品の中で一番子供が面白がる人物は「ハセガワさん」だと思う。

・男女の関係のことには結構むとんじゃくでした(年とった?)

・他の方のお話から自分が全く記憶していないところがたくさんあることに気づくこともあり、良い時間でした。

・「児童文学」など意識しないで読んで、楽しかったという感想。

・昭和の香りがする児童文学。ダイスケが自転車で橋を渡るシーンが印象に残った。

・すべての登場人物が人柄の良い人達ばかりで、読後感は気持ちがすっきりして良かったが、これで本当に良いのかという疑問がだんだん大きくなってきました。

・中島京子さん、もっと子どもを見つめてほしい。

・読みやすかったが、カタカナが多い点は読みにくかった。

 

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9月19日(土)

『闇の奥』ジョゼフ・コンラッド

参加者12名

 

・西洋の人間が1900年頃アフリカに行ったときこんな様子だったのかな、と考えながら読みました。作者が現地の人を軽蔑したり馬鹿にしたりしているとは感じませんでした。

・読み切るのにとても苦労した作品ですが、風景・エピソードの表現は素晴らしいと思いました。

・マーロウのものの見方、感じ方が興味深く読めた。

 ・人間の怖さは、ふたをとると何をするのか分からない怖さが、闇の部分だと思いました。

・記録の大切さを改めて考えました。

・自分では決して選ぶことのない「闇の奥」でした。よく分からないままのところはそのままだけれど魅力的な部分もありました。

・大英帝国の盛大であった頃の残酷な行為の残照が描かれているように思われる。

・比喩が上手。太鼓の音が聞こえる気がした。闇の奥にいる人々の日常を想像した。

・ヨーロッパの中では進歩・文明と考えられていたものが、一度ヨーロッパを離れるとここまで暴走するのかと感じる。

 ・全体的な暗い雰囲気、密林の先の思い不穏な空気を感じた。一度読んだだけではうまく意図を読み取れなかった。

・コンラッドの見たコンゴ、闇の奥、ほんとですか?

・もう少し整理した文章で書いてほしかった。いろいろ重み、暗闇を書こうとしているのだと思うが、少しけむに巻いているような感じ。

 

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8月15日(土)

『親不孝長屋人情時代小説傑作選』 池波正太郎、他

参加者14名

 

・作品一つ一つが面白かった。

・普段時代小説を読まないので、純粋に楽しめた。慎ましく暮らす庶民の生活、義理人情。どの話にも温かさがある。

・時代小説、ライト小説が必要な時代は、見苦しいストレス社会なのか?(やすらぎを求めている)純文学がはやる時は…激動の時代…?若くて未来を思う人に読まれる?

・大衆文学は人生のお酒かな。

・どの小説も大変楽しく読めました。今まで時代小説を読んでいなかったので、これから読んでいこうと思います。

・時代小説も面白い。

・山本周五郎「釣忍」が一番良かったです。「大衆小説は読者の機嫌を取るもの」という言葉が一番しっくりきました。

・「釣忍」タイトルが印象的でよいと思った。

 ・「釣忍」のタイトル、シノブグサをイメージすると作品の背景が頭に浮かび楽しめました。「邪魔っけ」が一番気に入りました。

・大衆と個人、何が何だか分からなくなった読書会でしたが、文学がますます好きになりました。

・様々な意見が聞けて面白かった。一人で読んでいたら考えつきもしないことが聞けるから貴重な時間です。

・時代小説を楽しく読ませていただきました。TVでは知っている作家の作品として読ませていただいて楽しかった。

 ・物語の先行きを予想しながら読み進めると、意外な結末になっているものもある。短編だからだろうが、町内の噂話という域で収まっている。

 ・それぞれの題にストーリーのカギがあって、分かってしまうのがあまりにもあっけなかった。

 

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 7月18日(土)

『野性の呼び声』ジャック・ロンドン

参加者12名

 

・零下50℃~60℃の世界で、過酷な労働に耐え人間とともに北に向かうドキュメントのような小説。野性に戻るバックの強い身体と心に感動!

・犬同士の闘争、飢え、過酷な労働など辛い場面もあったけれど、それらを乗り切る生命力が素晴らしい

・勢いがあり読み応えがある。

・身近にない”自然”を味わえる本。

・バックが自分の中の野性が働きだすのを何度か感じながら変化していくのが興味深かった。

・人も犬も厳しさは同じ犬ぞりの世界。そうなったのも人間が黄色い金属を発見したからだ。

・バックは過酷な犬社会から解放されて余生は悠々自適に過ごしてほしい。

・バックに会ってみたい。ソーントンに会ってみたい。

・いろいろな犬、いろいろな人間のからみ合いが面白い。

・野性と文明は対立することか、それとも紙の裏・表なのか?

・文明と野性という2つの言葉をもう一度考え直すことが必要だと思った。

・ゴールドラッシュ期のカナダの北方地帯の生活様式が非常に細やかに描かれていたことに感心しました。

・120年前の郵便そりの様子を興味深く読んだ。

・ルポルタージュである『どん底の人々』を読んでみたいです。

 

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3月~6月の読書会は、新型コロナ感染症予防の観点から中止しました。

 

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2月15日(土)

「時雨のあと」藤沢周平

参加者11名

 

・江戸の市井の人々の人情にふれ、あたたかな気持ちで読み終えました。

・藤沢周平節をひさしぶりに聞きました。

・藤沢周平のよさをあらためて読み直しました。

・作者の小説は大衆小説で、読者の喜ぶように筋を作ってゆくので読みやすい。

・登場人物の多彩さ、町並の多いことは大したもんだ。

・藤沢周平ワールドに男性は共感しているようでした。

 ・男性の女性に対する“憧憬”に驚きましたけれど、話し合いは面白かったです。

・今も昔も依存症に悩み苦しむ人間のサガが上手にまとめあげられた作品。

・人間関係(世間)がよければ(あみめがしっかりしていれば)、少し難のある人間も落ちてしまわないものだなあ。

・もう少していねいに本を読もうと思いました。

・短い会話や所作で登場人物の人間性をサラッと描くのが上手。驚きました。

・藤沢先生の作品については感心することばかりです。もっとも後期の作品には例外的なものも少しありますが・・・。

 

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1月18日(土)

『芽むしり子撃ち』大江健三郎

参加者12名

 

・23歳で書いたとは思えない。すばらしい文章でした。

・はじめて読み、文章力に感動しました。ちょっと荒いところもあるけれど。

・密度の濃い文章に驚きました。

・大江健三郎はすごいです。

・大江健三郎作品は初めてですが、文章力・表現力すべて圧倒的に素晴らしかった。

・文体について「読みづらいけれど、表現自体はすばらしい!」という意見が多くてうれしかったです。私も同感です。

・手あかのついていない比喩がすばらしいと思った。

・大江の文章にほれこんだ。表現はかくあるべきであると思ったりした。

・大江作品の難しさが興味を増加させるような読書会となり、成功だったと思われる。

・少年たちが築こうとした自由の王国が数日のうちに儚く崩れる悲しい物語。

・主人公が思いやりをもって接していた弟と少女の両方を失うのが哀れである。

・少年たちの思考の一部分はわかるが他の少年たちの罪はわからなかった。

・農民はあまり具現化されていないと思った。

・今日はちょっと消化不良です。やはり2回は読んでから発言したい。

・よくわからない小説でした。

・「僕」が何を抗議しても「犯罪者のくせに」と思ってしまい、しっかり世界に入っていけなかった。