読書会の様子 2022年

 12月17日(土)

『焼津の八雲名作集』小泉八雲 村松眞一訳

参加者13名

 

・海の恐ろしさがとてもうまく表現されていて、海でのこわかった記憶を思い出しました。

・小泉八雲の文章が詩的なのに驚きました。少しむつかしい表現が多かったので読むのに苦労しました。

étranger 小泉八雲

・小泉凡さんの名前、意外なところからきていること、驚きました。

・海から感じ取る想像と表現力に感動!

・皆様からいろいろな感想が聞けました。

・明治の焼津の漁民の素朴で正直な暮らしぶりが嬉しく思われました。また、お盆や施餓鬼、「南無阿弥陀仏」の本当の意味を知り、勉強になりました。

・もう一度丁寧に八雲の作品を読もうと思いました。

・海に対する思い… 焼津に対する思い… 永遠の魂…

・焼津の町や人々の良さが失われつつあるが、これらの作品の中にはその良さが残っている。迷ったら、この作品を再読することにしよう。

・(八雲の文も写実的な部分がわかりやすいと思ったが)村松眞一さんの訳が分かりやすい。

・ビックリするくらい良い本でした!村松教授は素晴らしい仕事を残したと思いました。

 

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11月19日(土)

『三四郎』夏目漱石

参加者13名

 

・大きな活字で楽しく読みました。

・最後に原口さんの展覧会に登場人物が次々と集まってきて物語のフィナーレになるのが素敵だと思う。読み終えたなぁ、とはっきり感じられる。

・「迷羊」ストレイシープの言葉で、美彌子を考えてみたけれど、人は(女性)誰でも迷いながら生きているのでは、と思います。漱石のたぐいまれな情報量に圧倒されながら、明治の終わりの上級の人達の世界に楽しさも感じました。

・文章が上手で映像が目に浮かぶようだった。漱石の永遠の美に対する憧れを感じた。主人公の頑固さにイライラしたので読み進めるのはつらかった。

・読むのはかなり大変だったけれど、皆さんのお話をいろいろ聞けてよかった。

・読み方次第で話が相当おもしろくなる小説。

 

・今も昔も人の心は不変であることが良く分かった。

・なかなか奥が深くてむずかしく、読むのに時間がかかった。三四郎の不器用さ、プライドの高さにイライラした。

 

・女性に関する部分にはあまり興味が湧かなかった。

・「三四郎」漱石の文明批判、世間批判。

・地方のエリートが東大に入るという、当時、今時の皆のあこがれをテーマにしたのが小説の成功した理由と思われました。

・地方と東京の格差は現代の何倍ぐらいだったのか。明治の文はもう古文ですね。

・ひとつの作品で人によっていろいろな見方があるなと思いました。たいへん楽しく聞かせて頂きました。

 

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10月15日(土)

『スタンド・バイ・ミー』スティーヴン・キング

参加者10名

 

 ・映画で知った話なので懐かしく読みました。少年たちのつき合い方が面白く、また情深くて感動的でした。

・面白かった。久しぶりにワクワクドキドキしながら堪能しました。

もう少しで食わず嫌いで終わるところでした。スティーヴン・キング、筆力に感銘。

・自分の子供時代を思い出しながら楽しく読みました。著者は人間関係がとても厳しい少年時代を送ったのだな、と思いました。でもその人間関係はとても魅力的でした。

・子どもたちだけの知らない土地への冒険。線路をテクテク歩くこと。線路に耳をつけて列車の接近を知ること。道々草花を摘んでおやつにすること…十歳の女の子もしたよ。

・時代や場所が違っても人間本来の思いは変わらず伝わる名作!

アメリカの保守的で閉塞感のある田舎町の様子を、繊細な作者がどのように感じながら育ったのかがよく分かった。

 ・小説スタンド・バイ・ミーを、映画の場面に合わせて読んでおりました。

・半分位しか読んでいなかったので、他の方々の感想を聞いただけ。面白い感想はなかった。

・アメリカの子どもたちは大変だな。

 

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 9月17日(土)

『世界から猫が消えたなら』川村元気

  参加者10名

 

・世界から自分の大切な物が消えたなら、なんて深く考えた事がなかった(失うものは沢山ある)。こっから自分の過去、現在、未来に繋げる展開は、心にしみる天才的表現力だと思った。

・悪魔とのやり取りは軽妙だが、突き詰めていけば難題であるところの答えを、読者も自分の生活と照らし合わせて探り当てなければならないことを思わせられる。

・時計(時)と生と死が一番気になるテーマでした。

・私からすれば若い作者(川村元気)の死に対する表現に世代間ギャップを感じつつ、いろいろな意見をきくことができて面白かった。

・大切な人の明日がやって来ないとしたら、今日が最後だとしたら、と考えたりしました。「余命」という言葉の重苦しさはありませんが、一日一日を大切に生きていこうと思います。

・川村元気さん、映像の世界に近いです。

・女性はあまり本音を言いたがらないのだろうか。

・やがて消えゆく我が身なら…。

・楽しんで読んだけど、作者の「若さ」を感じるなあ。

・現代の若い人の感性と言葉に触れることができました。ありがとうございました。

・著者の著作意図を作中人物に語らせる手法が現代的だと感じる。 

 

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8月20日(土)

『第一阿房列車』内田百閒

 参加者11名

 

・何用あって月へ?(大阪へ)

・ヒマラヤ山系くんをねぎらいたい。「区間阿房列車」では、静岡あたりの百閒の憮然とした顔が想像されて、気の毒やら可笑しいやら。

・山系さんの宿屋の支払い問題を真剣に考えました。(30-28)÷3=9,333円。女中さんのネコババ分2円を3人で負担したので、1人当たり9.33…円の負担です。

・とりちらかっているけど、おかしみにあふれている。百閒はひねくれているのか正直なのか。

・面白い内容だった。作者の人間性が(作られたものかも)面白いせいか。

・読んでいてとてもくつろげました。内田百閒先生のように力を抜いて生活していこうと思いました。

・とにかくおもしろい事。寝るとき、適当にめくった所を読んで、幸福なスイミンに入っています。

・京都旅館の女中さん(中居さん)を読んだ時、浪花千栄子さんの顔が浮かんで来ました。

・普通のできごとを、上手に切りとり、おもしろくふくらませていて、楽しく読めた。

・一人で読んでいたら全く面白さが分からなかったと思うが、おかげ様で最後に、読んでよかったと思えました。自分は無粋かもと思いました。

・比喩が上手、日本語が上手、緩急の間合いが上手、まったく古くない。感心しました。

 

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7月16日(土)

『おくのほそ道』酒田~越後路 松尾芭蕉

参加者12名

 

・風景描写など、想像力をかきたてられて楽しめました。

・昔習った西施の話を思い出し懐かしかった(50年位前)。古文のリズムは気持ちいい。

・芭蕉の書いた旅行記として楽しく読みました。分からないところは余り深く考えずに読みました。今日の会で皆さんの話を聞いて、理解が少し深まりました。

・今回でおくのほそ道も8回目。少しずつ古文・俳句が読めるようになってきました。

・芸術を追求するにはぬるま湯に浸っていてはダメ。

・俳句はわからん!

・俳句を解釈する人の想像力をもちたい。

・句の内容を考えず、他の事に興味があったので、話についていけなかった。

・俳句は詠まれた土地の歴史や故事などにも精通していないと読解しきれないと改めて感じました。

・松島と象潟にいつか皆で訪れましょう。

 

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6月18日(土)

『われらをめぐる海』レイチェル・カースン

参加者12名

 

・レイチェルの自然への想い(思い)を感じさせる実に詩的な作品です。

・知らない単語でつづられた海の歌。

・やさしい女性が力を入れずに書いているが、社会に大きな影響を与える作品だと思いました。

・読みづらかったようではあるけれど、それでも知らないことを知ることができたという感想が聞けて良かった。

・私たちが眺めている陸上の景色よりも、海底までの景色の方がスケールが大きいことがわかってよかった。

・知らないことが多いというのは好奇心をそそられる一方、とっつきに時間がかかるなぁ。

・この本を読み始めたときは、内容の説明が詳しくて読むのに苦労しました。途中で「楽しんで読めばいいんだ」と読み方を切り替えて、それからは楽しく読めました。

・生命の起源は海であり、今もこれからも海に生かされ続けてゆくことが良く分かった。

・あまりにもスケールの大きなドキュメンタリーに大変苦労して読みましたが、レイチェル・カーソンの大きな業績には感心しました。

・地名が分からず苦戦しましたが、海に関する知識が増えてよかったです。私的な文章がきれいでした。

・2022年の人間が読むと、古き良き海洋生物エッセーと感じる。

・海と文学が大好きなツアーガイドさんが、船で海を回りながら熱く解説をしてくれるような本でした。面白かった。

 

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5月21日(土)

『最終講義 生き延びるための七講』内田樹

参加者11名

 

・実学を学んでいた私だが人文系の大切さを知った。

・本書は今の日本を考え直していく資料たり得るか。考えさせられた一冊でした。

・かどの立たない語り口ではっきり主張している印象。大学の在り方について考えさせられた。

・内田さんの角のたたないものの言い方が大変勉強になりました。

・本音で語る講演は、きっと会場を沸かせたと思います。でも教育現場の現状に不安も感じました。

・教育論としては飛び抜けて素晴らしい内容と思いつつ、私には難しかったかな…。

・言葉に魅せられるが、どう行動したらよいか…。

・それなりにスラ~と読めました。ヴォ―リスの建物を見てみたい。第七講はおしゃべりな感じでしたが、ちょっと独断的な感じでついていけない感じです。

・一方的な議論と思いつきが多く、科学的見地がない印象。語り口は大変面白かった。

・講演の記録なので、講師(著者)の考えの一方的な開陳であるのは仕方がない。

・人には様々な考え方がある。それを一本にまとめる必要はない。どんな社会でも唯一無二の法例があるはずもない。

・はっきりした反対意見(少数意見)があって面白かった。

 

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4月16日(土)

『母』三浦綾子

参加者12名

 

・母親のセキさんの気持ちを思うと辛く悲しくなりますが、小説家多喜二が世の中で戦った背景がよく分かる良い作品でした。

・母の優しさ、想いが見事なまでに語りつくされ、なんとも引き込まれる作品でした。

・文盲だった母が、多喜二に手紙を書くために字を覚え、書きつづった文は心を打った。

・資料を読んでこのような作品を書くことができるという、プロの小説家の力量に驚かされました。 

 ・多喜二の母は聖母マリアであったかもしれない。

・多喜二=キリスト、セキ(母)=マリア。

・聖母マリアを象って書いたのでは?という説を聞いて納得しました。とても日本的なマリア像だと思いました。

・多喜二…無念。

・親にとって子は宝であるということがよく分かる。『蟹工船』を読むきっかけとなった。

・小林多喜二の『蟹工船』を読んでみようかなと思いました。キリスト教も共産主義もよく分からない。

・絶対に国家が主権を持ってはいけない。

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2月と3月の読書会は、まん延防止措置を受け中止しました。

 

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  1月22日(土)

『東京セブンローズ』(上)井上ひさし

参加者9

 

・戦争中の市井の人々の生活がとてもよく分かった。くすりと笑えるかけあいが楽しめた。

・山中信介の喜怒哀楽を親しみをもって読んだ。会話の言葉のやりとりはとても面白い。

・最初は旧仮名遣いが大変で、本は厚いし読み切れるか心配だったけれど、さすが井上ひさし、面白いなと思った。

・戦争中の人々の生活がユーモアたっぷりに書かれていて面白く読みました。当時を生きた人々のたくましさと苦しみも感じる良い作品でした。

・戦争中の生活が詳しく描かれていて、楽しく読めました。

・人は生きるためには昨日の悪も今日の是とする。

・作者の繊細さ、優しさ、意地悪さ、情けなさなどなど、この本からたくさんのものを受け取りました。

・井上ひさしさん、すごい!

 ・戦争中の生活の、井上ひさしの落語です。